「簿記2級合格に必要な勉強時間とは?」
簿記2級は、簿記3級に比べて内容の幅も量も多いため、合格するにはしっかりと計画を立てる必要があります。以下では、簿記2級の勉強時間の目安について詳しく説明します。
目次
1.簿記3級との違いとは?
簿記3級は、経理・会計の業務に必要な基礎知識の証明となる資格です。基本的な簿記の知識や取引の記録方法、決算における整理仕訳や試算表の作成について学ぶため、企業の一連の経理業務の大枠を理解できます。
一方、簿記2級ではこれらの基本的な知識に加えて、複雑な仕訳や決算処理、財務諸表の作成など、より実務と密接に関わる内容となっています。また2級から新たに、工業簿記が登場します。工業簿記では商品の製造活動の記録や生産にかかる材料や設備、人件費などを含めた原価の計算を学習します。
このように、簿記2級は3級と比べて内容のレベルが高いため、経理のできる人材としての証明や、他の職種でもビジネスマンとしての評価アップにつながります。
2.簿記検定2級の難易度や合格率
簿記検定2級の難易度は個人の経験や学習能力によっても異なりますが、試験範囲は幅広く、実務における様々な状況に対応できる能力が求められます。そのため難易度は決して低くなく、合格率は平均して15~25%前後となっており、合格率40~50% の簿記3級と比べても格段に難しいことが分かります。
3.合格に必要な勉張期間は初学者なら300~500時間、簿記経験者なら250時間が目安。
ここまでの、簿記3級と簿記2級の比較から分かるように、簿記2級合格に必要な時間はその人が初学者か簿記経験者かによって大きく違ってきます。
初学者の場合、簿記3級の基本から学習を始める必要があるため、300~500時間が目安となります。予備校や通信講座を活用した場合でも、250時間ほどかかるでしょう。
一方で、既に簿記の実務経験がある場合、簿記3級の知識を持っていることから、250時間程度の学習時間でも合格への準備が可能です。予備校・通信講座利用時は150〜200時間ほどかかるでしょう。
「簿記2級合格のための勉強スケジュール」
簿記2級の合格を目指す上で、効果的な勉強を実行するためにもスケジュール管理は非常に重要です。以下では、合格への道を進むための勉強スケジュールのポイントを3つの見出しにまとめて説明します。
1.簿記2級は工業簿記を学び、次に商業簿記の順番で勉強する。
簿記2級の勉強を始める際、まずは工業簿記から学習することをおすすめします。工業簿記は簿記3級には含まれていない領域であり、最初は戸惑うかもしれませんが、試験では基礎重視の問題が出ます。そのため基礎が身についたら、点数を伸ばしやすいのです。
対して商業簿記は、簿記3級より発展した内容になっているため、分からない箇所があれば随時簿記3級に戻って基礎を固め直すことをお勧めします。
2.スキマ時間の活用していく
簿記2級は勉強範囲が膨大なため、勉強時間の確保が必要不可欠です。そのため日々のスキマ時間を有効活用することで、効率的に学習を進めることができ、無駄な時間の削減にもつながります。
そこでオススメなのが仕訳問題です。簿記2級の試験でも簿記3級同様に仕訳問題があります。仕訳問題は一問一答形式のため、慣れれば慣れるほど短時間で解くことができ、またスキマ時間にも勉強しやすいため、徹底することで試験本番の際に短時間で大きな得点源を確保できるのです。
3.過去問を繰り返し解く
過去問演習は高得点を取るために効果的な勉強方法です。過去問を解くことで、試験の出題傾向や問題の構造を理解し、自分がつまずいたポイントを特定することができるからです。
解答後に間違った問題を振り返り、どこが誤りだったのか、理解できなかったのかを見つけ出しましょう。そして関連する内容を復習します。
その後2回目、3回目と繰り返し過去問を解くことが重要です。繰り返すことで、本番の試験形式に慣れるとともに、自分に足りない部分をより明確にすることができるからです。過去問演習を通じて確実な実力を身につけ、本番の試験に自信を持って臨みましょう。
「簿記2級に合格するための効果的な勉強方法とは?」
簿記2級の合格を目指す際、効果的な勉強方法の重要性が理解できたと思います。ここからはより具体的な勉強方法を3つの見出しにまとめて説明します。
1.丁寧に時間をかけて1周よりも、流して何周もする
簿記に限らず、勉強において大切なことの一つは「何周もすること」です。人は記憶した後、20分も経つと約半分を忘れるという研究結果があるくらい忘れる生き物です。そして反復して復習することにより、脳が「この情報は重要だ」と判断して長期記憶として定着するのです。そのため丁寧に時間かけてテキストを1度しか読まないよりも、流すように何周も繰り返し読んだ方が身に付いていくのです。
また、問題演習でも繰り返し解くということは、解き方が身に付くだけでなく、自分の弱点を浮き彫りにする事もできます。繰り返し解くことで、問題文を覚えていくため、どの点に着目すべきかに目が向くようになり、自分がどこでつまずいていて解けないのかを特定できるのです。
実際に問題に取り組んだ時、1周目2周目の不正解は単に解き方のうろ覚えが原因となることが多いですが、4周目5周目でも不正解の場合は知識不足や解き方が理解しきれていないから身につかないと考えられます。
そうなれば、特定した理解しきれていない部分をピンポイントで基礎から復習できるため、確実に弱点克服につながります。
2.過去問演習はたくさんの出題形式に触れる
過去問演習のメリットは大きく3つあります。1つ目は頻出問題を把握できることです。
過去問に数多く取り組むほど、頻出問題にも多く触れるからです。そして頻出問題に関連する内容を重点的に学習すれば、得点を稼ぎやすくなり、勉強時間の節約にも繋がります。
そのため勉強時間の確保が難しい人は、テキストを一通り読み込んだ後、頻出問題の内容を確認してから、優先してその内容の問題演習から取り組むことをお勧めします。
2つ目は多種多様な出題形式に対応する力が身につく事です。過去問演習は、単に過去の問題を解くだけでなく、さまざまな出題形式や問題の難易度に対処する力を養うのに役立ちます。特に工業簿記では、問題文で与えられる図や表が様々あります。しっかり知識や解き方が身に付いても慣れない形式のせいで苦戦することはよくあります。そのため過去問演習を通じて様々な出題形式に慣れることは、対応力を高めることにつながります。
3つ目は本番を意識した練習になる事です。過去問は過去実際に行われた試験のため、模擬試験として活用することができます。そのため、解く順番や時間配分の練習になるだけでなく、自分のペースが確立されれば、試験当日のプレッシャーにも強くなります。さらに、解くことに時間がかかる問題があれば、解き方の定着が甘い可能性があるため、これまた復習すべき内容の発見にもつながるのです。
3.自分に合った教材を活用する
自分に合った教材を選ぶことはとても重要です。ここを間違えると、内容の理解・定着が遅くなるばかりか、勉強のモチベーションを損ない、挫折する危険性が上がるからです。そのため教材選びの際は、「どのような教材であれば自分はスムーズに勉強できるか」ということを把握することが重要です。
例えばテキストであれば、文章と図解どちらが多いかであったり、白黒かカラフルか、文字のサイズは読みやすいかなどです。勉強のモチベーションを維持する為にも、理解しやすく自分が読み進めたいと思うテキストを選ぶことはとても重要です。そして特徴を挙げてから実際に書店で読んでみると、迷うことも無くなります。
次に、問題集であれば内容ごとにまとめているものや、基礎的な問題からステップアップしているもの、重要度順になっているものなどです。自分の勉強法に合ったものを選択しましょう。
ただし、問題集に関しては共通して絶対外せない条件があります。それは答えのページの解説が充実していることです。特に独学で勉強する人にとっては、間違えた問題を復習する際、解説が乏しいと、調べることに時間を費やしたり、最悪分からないままになってしまうからです。
もちろんこの他にも予備校や通信講座の受講という選択肢もあります。実際に授業を受けての学習は内容の理解と定着の点でとても効果的であるため、予算に余裕のある人にはおすすめです。
「まとめ」
簿記2級は簿記3級に比べて難易度が高く量も膨大になります。そのため合格に必要な勉強時間は数ヶ月単位です。しかし自分に適した正しい勉強法を実践することで効率化でき、勉強時間の短縮が可能ですので、当記事も参考にしつつぜひチャレンジしてみてください。