簿記2級を取ろうと思ったときに、実務では簿記は役に立たないから意味がない、という話やネットの情報を見聞きすることがあるかと思います。
簿記2級について色々な情報が出まわる中で、何を信じればいいの!っとなっているあなたのために、簿記2級が意味のない資格なのか、それとも意味がある資格なのかを本記事では、まるっと解説していきます。
目次
1.簿記2級が意味ないと言われるわけ
年間で約60万人以上が受験するこの日商簿記試験は、社会的に高い信頼と評価を得ているにもかかわらず、簿記2級がなぜ「意味がない」と言われてしまうのか、その理由にはどのようなものがあるのかをみていきましょう。
理由1:取得者が多いから、価値が低いと思われてる
簿記には受験資格がないので、誰でも簡単に受験できる試験となっています。
年度によっても変化しますが、1年でおよそ12,000人程度の合格者がでる試験で、難易度は回ごとに異なりますが、2023年の公認会計士試験の合格者数は約920名という狭き門であり、毎年多くの人が簿記2級に合格していることがわかります。
また、簿記検定に受験者が多くいる理由としては、会社が社員に簿記の取得を促す場合や大学や短大の推薦入学、大学の単位認定に採用されていたりするためだといえます。
簿記2級の合格率は、約25%前後ですが、簿記1級の合格率は例年10%前後となります。また、難関資格と言われている、税理士試験(2022年度合格率19.5%)、公認会計士(2023年度合格率8.8%)と比較した場合には簿記2級のほうが合格率が高くなるため、このような資格と比較して簡単な試験だと思われることもあります。
理由2:独立や開業ができない
上記の比較であったように日商簿記は国家資格である公認会計士や税理士、司法書士といった資格のように独占業務がある資格ではないことも一因のようです。このように簿記2級に合格したからといって独立や開業することは難しいといえます。
なので、将来的に独立や開業がしたいと考えている人にとっては、簿記2級は意味がない資格とみなされてしまうこともあります。
理由3:資格より実務経験が大切だから
実際の職場では、やはり資格よりも実務経験の方が重要視されるため、未経験者よりも経験者の方が重宝されることも事実です。
例えば、簿記2級の資格を持っていたとしても未経験者と経理担当として3年以上会社で働いている無資格の人がいれば、後者の方が実務経験があるので、即戦力として仕事ができる人となります。そのため、簿記2級の資格がなくても就職先で経理課へと配属され実務経験を積むことができれば十分戦力になります。
ただし、未経験から就職または転職する場合には簿記2級は有利な資格と言えるでしょう。なので、採用されてから経理として配属されれば知識と実務経験のどっちも手に入れることもできます。
2.簿記2級を取るメリットとは
これまでお話ししてきたような理由などから、簿記2級を取得しても意味がない、と思われてしまっている部分があります。
しかし、簿記2級は下記のようなメリットがあるので、全く意味がないもの、ということはありません。
「日商簿記2級は意味がない」と思われている人も世の中には多くいるようですが、実際のところ、この資格を取得するメリットはたくさんあるといえます。
メリット1:就職や転職に有利
簿記2級を持っていると一定の経理知識がある人と認識されるので、未経験者でも経理職に採用されやすくなる傾向があります。人事担当者であれば、経理につきたいのであればその意志の表れとし簿記2級資格を理解しており、取得した方に対しては、経理に就きたい意欲と計画性をもって真面目に業務に取り掛かれる人という好印象を持つことが多いといえます。
2019年からは試験範囲の改定で税効果会計や連結会計などの論点が加わり、簿記2級の難易度が高くなったため、さらに評価されやすくなったといえます。
また、経理関係の職種でなくとも、取引先の決算書を分析したりすることができるようになるため、営業職にも役に立つことができます。
メリット2:経理実務に活かせる
簿記2級は、企業の経理や会計、営業、経営管理など様々なビジネスの場で知識を活かすことができるようになります。
財務諸表の数字を読み解き企業の経営状況を把握したり、自社や取引先企業の経営状況を分析できるようになるのもメリットです。
そして、簿記2級レベルの知識があれば、企業内のお金の動き方のイメージをつかむことができるようになりすます。企業の目的が利益を出すことにあるので、企業内のお金の動きを知ることができる簿記2級の内容は、全てのビジネスパーソンにとって欠かせない知識といえます。
メリット3:昇給や資格手当が付き給料が増える場合がある
簿記2級の資格取得者に月5,000円〜20,000円の資格手当を付けている会社もあります。資格手当がつくのは簿記2級からが一般的といえます。
通信講座を受講したとしても50,000円程度なので、1年間で十分に取り返せる金額の手当てがもらえる場合があります。簿記の仕組みは商売が始まったころから完成されているので、数年前の知識が古くなってしまうIT業界などと違って、1度取得した知識が半永久的に使えるというメリットがあります。この資格には更新や講習などが必要ないので維持費が必要ないもころも点もメリットの一つです。
3.簿記2級を意味のある資格にするためには
これまで、意味がない理由とメリットについて見てきました。それでは、簿記2級を取得することが向いている人はどんな人なのかも見ていきましょう!
•推薦入試を有利にしたい高校生
•未経験から経理職に就きたい人
•転職を有利にしたい人
•公認会計士など難易度の高い資格取得したい人
大学の推薦基準となる商業の資格・検定の資料によると全国70以上の大学で大学推薦入試に簿記取得者を優遇しています。
また、簿記2級を必須の採用基準にしている会社の求人もよく見受けられます。
そして、さらに高い資格(簿記1級・税理士・公認会計士等)へスキルアップしたい人にも簿記2級はおすすめといえます。
簿記2級の資格を更に意味のあるものにするためのコツをここでは紹介します。意味がない資格にならないよう、以下のコツを実践することで簿記2級の価値を2倍にも3倍にも上げていきましょう。
(1)実務経験を積む
もちろん簿記2級を取っただけでは、自分の生活をより良く見分けることができるだけで、資格を全面的に活かしきれなくなってしまいます。企業で経理職に就き実務経験を積むと即戦力になるスキルが身に付けることができるので今後の就職や転職を有利にしてくれます。上記で述べたように同じ条件の簿記2級取得者が面接に来た時には実務経験があった方が企業側はやはり採用しやすくなります。
3年程度の実務経験があると、経験者としてどこでも通用するかと思います。ただ、一般的には3年間とよくいわれていますが、1年間で3年間分の実務経験を積めるような職場もあります。例えば、ベンチャー企業などでは制度が整っていないこももあり、経理についてマニュアル化やルーチンワーク化されていないので、上場企業や大手企業などより幅広い実務経験が積むことができます。
(2)その他の資格を併せて取得する
FPや宅地建物取引主任者などその他の資格を取得すると簿記2級の資格はもっと意味があるものになります。
自分の好きな業界での専門知識が簿記2級に加わるだけで、希望業界に入りやすくなります!
例えば、不動産系の企業に就職したい場合は、簿記2級に加えて宅地建物取引主任者を取得するとより良くなります。宅建の難易度は簿記2級と同レベルと言われていますが、宅建は国家資格なので、持っているだけで不動産を取り扱う会社での採用率が上がるので鬼に金棒状態になります。
このように自分の行きたい業界の資格と合わせて取得している効力がさらにアップしますよ!
(3)簿記2級が活かせる仕事をする
当たり前じゃん!と思われる方が大半だと思いますが、とりあえず簿記2級を取得したけど、資格を取ったままという人も多いのではないでしょうか?
簿記2級を活かせる仕事をすれば、勉強した知識が活かせるので、内容を忘れにくくするだけでなく、さらに会計や経理、財務スキルを学び続けることができ経験から蓄積します。
経理実務は簿記の試験問題の何倍も実際は複雑で、重要な仕事です。実践的に毎日の経理業務を行うことで、自分自身が経理のスペシャリストへと近づいていくことができます。
簿記2級を取得した後も、学び続けることで資格がさらに意味のあるものになります。
最後に、簿記2級の資格は日常でも活かせ、そして、実務経験を積んだり、業界の資格と組み合わせることで、単体での資格の持つ意味以上の評価を得ることが出来るとわかりましたね!
また、私からは経理の資格と組み合わせるスキルとして、Excelスキルをおすすめします!簿記の知識を活かして書類を作成するにあたっては、Excelの技能があってこそ活かせるものです。経理の実務を行う上で最優先でExcelの基本的な関数を学んでください。
なぜなら、経理の実務では、大量のデータを素早く、正確に処理することを常に求められるので、Excelの技能があると仕事を任せてもらえる範囲が広がりますし、アピールポイントにもなります!
上記のコツを取り入れて簿記2級の資格を活かしてくださいね!