簿記1級を取得することを決め、学校に通いはじめた私ですが、勉強開始当初から勉強時間を測ってこなかったので自分自身の実際の勉強時間数は不明です。
後々分かったこととしては、一般的に、800~1000時間程度と言われることが多い資格です。
個人的には、一般的な時間はこの時間である者の、その方の勉強してきた過程も大きく影響するのでは?と感じます。
大変長く勉強期間を要してしまった私ですが、自分の勉強時間はわからないにしても、
どのような過程であったか、周囲にはどのような過程を持った人多くいたのかを記録していきたいと思います。
目次
■簿記1級合格までの勉強時間はどれぐらい?
先ほど触れた通り、一般的に独学で勉強する場合、800~1000時間程度と言われることが多い資格です。
ただ、2000時間と書かれている資格取得サイトもあり、一体どれを参考にすればよいの・・と
困ってしまう方も多いのではないでしょうか。
個人的には、時間の差がこんなにも開く理由として、
基礎知識(簿記2級?公認会計士?)も大きく影響しているかと思っています。
それは、いきなり簿記1級に挑戦する人は大変少なく、簿記2級からのステップアップ学習であったり、公認会計士資格を勉強している方が力試し的要素も含め勉強している方も多くいることです。
また、同じ簿記2級からのステップアップ学習であっても、勉強を開始する段階で簿記2級の取得時期から時間が経っている場合、簿記2級の範囲も年々変わっているので直近で取得した人との差が出てしまう可能性もあります。
学校の先生も直近の簿記2級の範囲を理解したものとして説明をしますので、
もしもブランクがある場合には一回、直前の簿記2級の範囲を把握した上で簿記1級の勉強を進めることをお勧めします。
私はその点をよく把握しておらずただただ簿記2級の範囲を忘れたのかと思っていたら、まさかの勉強をしていない範囲だった…という事がよくありました。
■勉強時間とスケジュール
仮に1日2時間勉強したとすると、1年で700時間となります。それでも800時間には追い付きません。
大原に通っていた時は、1週間の勉強時間目標が20時間と設定されていました。
1年は約52週間なので、週当たり20時間で1,042時間となり、
簿記1級取得1年コースで勉強した場合を想定すると800~1000時間は妥当な時間数なのかと思います。
実際に20時間勉強するためには土日をそれぞれ5時間ずつあて、平日5日間を毎日2時間あてると達成できる時間数ではあります。
ただ、1日でもプライベートな都合が入ったり休日出勤・体調不良など、勉強できない日が発生してしまうと、どこかでカバーしなければ未達成となってしまうスケジュールとなります。
■簿記1級は難関資格。合格率は10%程度
どんな資格勉強でもあてはまりますが、やっていれば受かるものではありません。
簿記1級の合格率は約10%の難関資格と言われています。
簿記1級の試験は4つの試験科目があり、(前半の90分で商業簿記・会計学、後半の90分で工業簿記・原価計算)それぞれ25点満点の配点になっています。1科目10点以上、かつ70点以上で合格となります。
3つの科目で25点満点であっても1科目8点であれば合計点は83点ですが、不合格となります。満遍なく勉強をしないと合格しないという点も勉強開始当初から意識することが大切です。
■簿記2級・簿記3級や税理士(簿記論)との合格率や難易度の違い
近年、簿記検定試験は今まで主流であった年2・3回の統一試験(紙試験)ではなく、毎日受験が出来るネット試験が始まっています。
東京商工会議所では2023年4月から簿記2級・簿記3級の統一試験(紙試験)が廃止されました。
現在のところ、
簿記2級では合格率は統一試験で24%程度、ネット試験で37%、
簿記3級の統一試験で37%、ネット試験で41%となっています。
簿記検定からのスキルアップとして簿記1級を目指す場合には、合格率の現況も理解したうえで臨むことをお勧めします。
また、簿記1級は現在もネット試験の開催はなく、年2回の統一試験(紙試験)のみとなっています。さらに、簿記1級を受験しているとき講師の先生が言っていたことで記憶に残っているのが(意外とネットでも書かれていましたが)簿記1級を続けることも一つだが、税理士試験(簿記論)のほうが高い合格率なのでそちらに移行することも一つの手段である、ということです。
理由としては税理士試験の簿記論は合格率19%程度と簿記1級に比べて高い合格率となっているためです。
実際に簿記1級を取得後に税理士試験へ勉強をシフトする方も多く、全員に受験資格があるわけではありませんが、簿記1級の次のステップとして税理士試験を考えられている場合には簿記2級からのステップとして簿記1級ではなく税理士試験を視野に入れることも一つではないかと思います。
■簿記1級はスクール・通信講座を使うのがベストな試験である
私は大原簿記学校(社会人講座)、資格の学校TAC、個人の方の通信講座を経験しました。
通信講座を受けている期間以外は大原とTACを行き来したり最後はW受講したりしていました。
大原・TACともに通学講座をとればセットで通信講座も受講できる内容ではありましたが、個人的には通学講座が向いていた(一人だと自分のペースになってしまい進まないなど)かなと思います。
質問が出来る体制も準備はされていましたが、なかなかすぐに回答が得られないので時間がたってしまいつまずきが増えるなど、個人的にはうまく通信講座を生かすことが出来ませんでした。
ただ、電車の中で時間を有効に使ったり、当日の予習・前日の復習などには活かすことが出来たので、あくまでも個人的な感想です。
■実際の勉強スケジュールの状態
結局、私の勉強時間は週10時間くらいでした。
(大原の学校の講座の時間は勉強時間に含まれないということをもとに)平日はだいたい帰ってから机に向かうも気絶していることが多く、学校の講座前に1時間くらい早く到着して勉強、授業後に教室を移して復習(授業後は質問タイムなどでざわついているので、自習室に移動)などをしていました。
プライベートの都合もあり毎回すべてが思い通りにいったわけではありませんが、調整できる範囲で家族にも協力を依頼し行動していました。
身の回りの方に簿記1級の勉強がある!ということを周知することも大事ですし、通学だとやむを得ず的な感じで強制的に勉強できる状態になることも一つのメリットでした。
通信講座の時は自分次第…ということで、強制的に勉強環境を作ることはせず 、あとで勉強は取り返そうと思い家族の都合があればそちらを優先してしまうなどもありました。
■通学、通信、それぞれの特徴は?
各講座の簡単なまとめは、こんな感じです。
▼大原簿記学校(社会人講座)
- 授業前後に質問できるように先生は誰よりも長く教室にいる印象。
- 個別面談を1対1で行ってくれるので、他の方に聞かれたくないことも相談が出来る。※面談は基礎講座期に2回、直前答練時に2回程度ありました。
- 元々専門学校なので1人1人と向き合うことに長けている学校だと思う。
- どの先生も熱量があり、先生達の仲がいい!というのも大原の魅力?かなと思います。
▼TAC
- 講義開始直前に先生が来るので質問はだいたい講義が終わってから。
- 先生によってタイプがかなり異なる印象ではあるが、直前の時期になると授業後に先生が自主的に自習講座を開いてくれたりと、良い先生に出会えることも。
- 過去問にも載っていないような昔の例題などをもってきて開設までしてくれたりと、近年の出題傾向とは一味違う大変が出来、とても勉強になった。
▼YouTubeで多く登録者数を抱える個人の方(個人的には△だったのでお名前は伏せます)
YouTubeで更新頻度が高く通信講座も慣れているのかと思いコロナ禍で通学が出来ない時期に申し込み。
教材に不備が多くあったり(大原とTACで勉強していなければわからなかったことが多い気がする)YouTubeへの熱量との差を感じ大変残念だった。
複数の先生がいるとまた違ったのかもしれないが、完全に個人の方だったので指摘もあまりなかったのかな…と。
前章で多少触れましたが、そもそも簿記2級の範囲だった!という点については簿記1級講座で改めての説明はないので、YouTubeを使いながら勉強しました。
少しややこしい単元については単元名などをYouTubeでピンポイントで調べると公認会計士講座の一つとして細かい解説がされていたりと、他の講座の動画からも助けてもらいました。
■受験までに必要となる勉強時間がとても長いのでモチベーションの維持が大変
TACでは仲良しグループ(?)が何グループが存在していましたが、大原は全くそのような感じは見受けられませんでした。
私個人はどちらでも誰とも絡まないスタイルでしたので、勉強仲間はいませんでした。
ただ、会社で運営してたTwitterを通して同じく簿記1級を目指している方(中には公認会計士受験生や簿記2級の方)もおり、勝手に仲間の様子をみていました。特に直前答練期間は点数差が激しいことと本番に近づくにつれこのままで大丈夫か…と思うことも多い中、Twitterを通して他の方の点数を知れることが大きかったです。
学校では模試の結果は上位30%(学校で上位30%に入れれば合格圏内という考え方より)の方の点数は発表されるものの、それ以上の情報は入ってこないので、自分だけがこんなに波があるわけではない…ということも一つの材料となりました。
簿記にしばられず、Twitterに所属している勉強民のみなさんからはすごい方が多く、朝4時くらいから“朝勉します”や夜中に“帰宅したのでこれからやります!”など私も頑張らなければ…と刺激ももらうことも多くありました。一緒に頑張りましょうのコメントはとてもうれしかったことを今も覚えています。
■最後にお伝えしたいこと
簿記1級を開始した直後の大原の全国答練テストで私は最下位の成績でした
(本当の本当に最下位だったのです…。記念としてTwitterにもUPしてありますのでよろしければご覧ください)
今思えばよく全国答練テストを受けたな…と思いますが、最終的に合格できた今ではここからでも受かると誰かの希望になれれば嬉しいな…とも感じています。
前章でお伝えしたように簿記2級の直前の範囲の理解や簿記1級の情報をほとんど備えていないまま、ただ“資格取得”というミッションだけに挑んでしまいましたので、事前準備は大いに必要であったと反省もたくさんあります。
また、簿記試験勉強の終盤は本試験で60点台をうろうろすることもあり、このまま一生受からないのではないか‥と思うこともありました。
ただ、最終的に頑張れば受かるという事が結果として現れたことが今後も努力を重ねれば結果は出るという一つの自信となりました。
簿記の学習は学生時代に勉強したことがあまり影響しないので、社会人になるまで勉強してこなかった…という方も挑戦できる資格ではあると思います。
そして、最後の最後に実感したこととして、やはり基礎は大事である、ということです。
前回の162回の本試験では“収益認識基準”が出題されるようになってから2回目の試験でした。この単元の過去問はないので、大原でもTACでも想定問題もあまり多くはありませんでした。
また、他の学校の本試験後の速報会でも先生方がこれは“捨て問です”と言われていた問題がいくつかありました。本試験後のTwitterでもとんでもない問題が出た!というコメントが多く出ており個人的にもダメだったか‥と思ったほどです。
ただ、結果的に配点は(おそらく)ほとんど影響はなく、それ以外の基礎問題でいかに正確に点数を取ったか、が問われているように感じました。
同時にそのようなめげそうな問題が出たとしても割り切って次に進めていくという気持ちの強さをもつことも大切であると感じました。(過去に失敗まみれの私は割り切る力はとてもついてしまったようで…それが最後の最後で役に立ちました。)
長期戦の中、ネット上には多くの合格体験談やカンタンに受かる!というようなものが多くUPされており、私は一体たどり着けるのだろうか…と思うことも多々ありましたが、今この記事を読んでくださっている方の中に同じ思いをお持ちの方で、あれ…こんなにも悪い点数からの合格者もいるの?ということを知っていただき、励みになれるのであればとても嬉しいです。
今回の記事は飯島が担当しました。