簿記3級に合格するための時間は、80〜100時間時間と言われているのですが、実際はどうでしょうか?
まずは簿記試験の内容について見ていきましょう!
目次
1.簿記3級について
簿記3級は商業簿記が3題程度出題される試験時間60分の検定試験です。70%以上の正解率で合格となります。
出題の区分は、「簿記の基本原理」、「諸取引の処理」、「株式会社会計」、「決算」となります。
簿記3級は基本的な商業簿記を理解し、小規模な企業における企業活動や会計実務、経理関連処理を適切に行える程度のレベルが求められます。
2019年度から出題の前提が個人商店から小規模の株式会社に改められ、現在のビジネス社会に対応する実践的な内容となりました。
(1)簿記3級は難しい?
簿記3級は、100点満点中70点以上が取れるかどうかという絶対評価の試験です。そのため、合格率が上下する可能性があります。
2019年の試験の内容変更により、多少の変化がありました。簿記3級の合格率が以前は、50%前後と受験者のうち2人に1人程度が合格する試験でしたが、
変更後の現在は30%〜40%前後の合格率で推移しています。
直近、10回の合格率は下記のとおりです。
- 第160回 50.9%
- 第159回 27.1%
- 第158回 28.9%
- 第157回 67.2%
- 第156回 47.4%
- 第155回 中止
- 第154回 49.1%
- 第153回 43.1%
- 第152回 56.1%
- 第151回 55.1%
※参照:3級受験者データ|日本商工会議所
ご覧の通り試験制度変更後は、合格率が低くなっており、新試験制度に対応した勉強方法が必要になっていると言えるでしょう。
ただし、簿記試験は資格試験の中でも、税理士試験と言った試験のように特別厳しいわけではなく、簡単すぎるレベルではありませんが、きちんと対策すれば誰でも合格できる試験です。
(2)簿記3級の勉強時間はどれくらい
簿記3級の合格に必要な勉強時間の目安は、80〜100時間です。
早い人では2週間程度の勉強時間で受かってしまう場合もありますが、多くの人は独学で対策を行って試験の1~3か月前から勉強を始めることが多いようです。
もし、あなたが最短で合格したい場合は、1日あたり4〜6時間程度の勉強が必要です。なぜなら、1日あたり4〜6時間の勉強時間であれば、半月から1カ月程度で目標となる100時間を達成できるからです。
もし、そこまでの時間が割けない人は、1日1時間の勉強で約2.5~3ヶ月続ければ、目標時間に達成します。
もともと経理に携わっていた人や、商業高校で簿記の勉強をした経験のある人であれば、勉強時間をもっと短縮できる可能性はあります。
逆に勉強方法を間違っていれば100時間勉強しても合格には至らないかもしれません。ちなみに筆者は大の算数・数学大嫌い、理系から逃げてきた人間でしたので、正直300時間以上勉強して、落ちるの怖いというプレッシャーと数字に対するリハビリで半年程度勉強していました。
簿記2級を受けるにあたって簿記コースを受けるために個別相談に行った際に、「3級にそんなに時間かけたの?(ビックリ)」と言われたのは懐かしいです(笑)。
つまり、3級に合格するためには、単純に100時間勉強すればよいというわけではなく、勉強の質や自身のポテンシャルによって勉強時間は異なってきますので、一通りテキストを読んでから、一度試験問題を解いてみてどれくらい理解しているかをチェックし、勉強時間がどれくらい必要なのかを考えてみてください。
(3)独学でも合格できる?
前述のように「計画的に勉強をする」、「正しい勉強法で勉強する」の2点を押さえれば独学でどんな人でも合格できる試験です。有料スクールの「TAC」と「資格の大原」の利用率等も添えて、独学の割合を算出すると受験者の約80%は独学と言われています。
数字嫌いの筆者でも何とか独学で理解できたので、3級までは誰でも独学で合格出来ると思います!
2.簿記3級における学習スケジュール
簿記3級合格のためには目安で100時間の勉強が必要だと述べましたが、部活や仕事、家事・育児で忙しい中で合間に勉強をするのでそんなに時間をかけられない人や、もっと短期間で効率よく勉強したいという人もいるでしょう。
(1)勉強ステップ1
知識が全くない状態から勉強する場合は、まずは参考テキストを最後まで読み通して一通り知識を頭に入れましょう。
参考テキスト自体は何も前提知識のない初心者の状態からでも、1週間もあれば読み切れてしまうので、早い方では3日程で読破できます。
ただし、参考テキストを1回で理解しきることはまず不可能なので、途中で分からなかった論点は付箋を貼っておくなど、チェックポイントは忘れないように印をつけておきましょう。
そして、最後まで読むことに重点を置きましょう。分からない知識や苦手分野は問題集を解きながら、参考テキストに立ち返える時に便利です。
(2)勉強ステップ2
問題集を解いて用語や勘定科目を覚えることが、この簿記3級の検定において大事です。問題を解いてわからなかった用語や勘定科目は繰り返し勉強して覚えましょう。
また、用語は年々新しいものも登場するので、参考書は最新のものを選ぶようにしてください。古い参考書では新しく出てきた勘定科目や用語に対応しきれないこともありますので注意が必要です。
(3)勉強ステップ3
簿記3級の勉強は、問題を解いた数が多ければ多いほど点数が上がります。問題をいかに沢山解いて実力をつけていくかが合格の鍵を握ります。
問題集を購入して、ひたすら問題を解き、解けない問題に関しては参考テキストを見るなどして復習しましょう。また、どうしてもわからない問題については、解説や答えから読んで暗記してしまっても問題ありません。
分からない状態で次に進めないよりは、暗記してさくさく進んでいくことに重点を置きましょう。簿記の問題は計算と言いつつ暗記に頼る部分もあり、知っていなければそもそも始まらないケースも多いからです。
(4)勉強ステップ4
一通り問題集を解き終え、苦手を潰せたと思ったら過去問を購入して、実際の問題に慣れるよう要領を掴みましょう。
過去を5回分ほど解けば傾向や解き方、雰囲気が掴めてきます。
というのも、簿記3級では勘定科目や仕訳のきまりをきちんと理解して、基本的な仕訳問題は見た瞬間に手が動くレベルにしておく必要があるからです。時間制限がある中で問題を解くことが求められるからです。
なので、一定の勉強時間を確保して、試験で焦ることがないくらいまでステップ3と4をとにかく繰り返し解いては、間違えをチェックすることが重要です!
3.簿記3級の勉強ポイント
簿記3級、いえ、どんな試験に臨む場合も勉強する中で陥りがちな失敗があります。それは、一切勉強しない日を作ること、無謀な計画を立てて実行することです。
仕事で残業続いて疲れてしまったり、気分が乗らない日もあると思います。
しかし勉強時間が一切ない日を作ってしまうと、やらないことが習慣化につながってしまい勉強が進まなくなります。
また、勉強したことを忘れやすくなってしまいます。
1日のうち5分でもテキストを開いてみる、または1問だけ仕訳問題を解くといった日があっても良いです。
休まずに勉強する習慣をつけるようにしましょう。自分の目標のために頑張りましょう!!
また、簿記の勉強をするときに無謀な計画は立てず、実行可能なペースで計画を立てましょう。例えば1日12時間やるなど、無茶なことを続けると、やりたくない日が出てきてしまうかもしれません。
簿記3級は会場試験でも年に3回実施されてますし、ネット試験に限っては年中受けられらので、1回飛ばしてもすぐに次の試験が始まります。「試験のために今日から詰め込む!」というような無理をするより、余裕を持って4ヵ月後に絶対合格するために学校や仕事と両立した計画を立てよう!」と計画したほうが両方もうまくいくと思います。
何事も地に足ついた計画の方が結果に繋がりやすいですよね?そう言うわけです。
(1)モチベーションの上げ方
モチベーションアップのために簿記はメリットが沢山あることを意識してみて下さい。
どんな業種の企業でも必ず経理職はありますし、数字がわかることの証明のような簿記3級は活かせる機会が多いです。
①企業での経理職として働く
経理職においては簿記の知識が必ず必要となります。そのため、簿記3級を持っていることは業務を進める上で大変役に立つ知識となります。
昇任やさらにステップアップしたい方は簿記2級の取得を目指すのも良いでしょう。
経理の仕事は主に日次業務、月次業務、年次業務の3つがあります。経理は専門性が高く、経験を積み重ねることでより評価され、就職や転職もしやすくなります。
簿記3級を持たない未経験のまま経理に配属される場合でも、簿記3級レベルは当然知っている前提で仕事を振られることがあるので、働きながらでも最低簿記3級は取得しておくと業務的にもスムーズにこなせるようになるでしょう。
②会計事務所で働く
会計事務所での経理の主な役割は、企業の財務状態を把握して報告することになります。
ここでも簿記3級を活かすことができる仕事として知られています。
基本的には会計に関わる仕事になりますが、一般事務や給与計算や社会保険手続きなもを兼任する場合もあります。会計に関する知識やスキルが必要なだけでなく、企業の社長や役職のある経理担当者に会計報告する機会が多いのでコミュニケーション能力も求められる仕事です。
③税理士事務所で税理士補助で働く
簿記3級では、税理士と同等の権限をもって仕事をすることはできませんが、税理士業務に関連するような税理士業務に抵触しない範囲で色々な仕事をすることができ、その際に簿記3級の知識が役に立ちます。
もちろん、簿記3級から2級、1級、税理士試験合格などステップアップしていくのもいいでしょう。
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就職活動に役立つセミナーや、経理・総務の実務セミナーなど、未経験の方でも安心して仕事に就くことができるように万全の体制でサポートしています。
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(2)簿記3級を取得するメリット
①数字でビジネスが読める
筆者は数字が大嫌いで人生損してきたと思って簿記を始めた経緯があるので、このメリットは資格試験勉強を始めた当時は大変モチベーションが爆上がりするワードでした。
前述の通り簿記は基本的にどんな仕事にも役立てられる資格です。簿記の知識を得ることで、ビジネスにおいて、否、生きる上で数字で読むことができるようになります。
自分の仕事で数字を使って説得力のある提案書が作成することができたり、商談や会議で納得してもらえる機会が得られたり、お金について騙されにくくなる、資産を増やすことができるなど、数字が読めると自分の幅が公私ともに広がります。
特に会社経営においては簿記の知識やスキルが不可欠事項と言えます。
また、簿記3級は、他の資格の取得にも役立ちます。もちろん簿記3級に合格すれば、簿記2級を取得しやすくなりますし、FP、公認会計士、税理士、中小企業診断士などはもちろん、IT系の資格とも相性が良いです。
他の資格を取得する時には、簿記3級と組み合わせるとさらなる効果を発揮することがあるのでおすすめです。例えば、年齢にもよりますが、転職時に簿記3級とFPを取得していればダブルライセンスとしてアピール材料になります。
②就職や転職の際に役立つ
簿記の知識はビジネスにおいて大変役立つ資格であることは理解していただけたと思いますが、簿記検定を持っていると数字を理解していることを、客観的に証明することができます。
これが、簿記3級から簿記2級や1級ともなると転職時にさらに強いアピールをすることができますし、年収のアップにつながる場合もあります。
③事務系職種の中で給与が高い
dodaの「平均年収ランキング(職種別の平均年収/生涯賃金)」(2019年9月~2020年8月)によると同じ事務職ですが、経理の全世代平均年収は509万円となります。一方、他の事務系の職種の全世代平均年収をみると
医療事務は300万円、営業事務は330万円、一般事務は331万円、貿易事務は380万円となっており、経理職と比べて年収に大きな差があります。このような差が生まれる理由としては、一般事務職のように、基本的にルーティン業務だけを担当する(毎日同じ業務を繰り返す)ために専門性を問われず、給与も低く設定されることが一般的です。
経理の仕事は簿記や財務等に関連する高い知識が必要なことに加えて、知識を実際の業務に合わせて使いこなす柔軟な対応も求められる専門職であるために一般事務職よりも給与が高めになる傾向にあります。
④経理職は転職がし易く、つぶしがきく
また、経理は非常に転職がしやすい職種です。
なぜなら、世の中に売ったり買ったりする営業活動がある限り、経理の仕事はなくならないからです。
そして、企業選びの軸が、経理であるということは、受ける企業を特定の業種に限定する必要がなくなるので、業種の制限がほぼなくなります。すなわち、経理はすべての企業にとって必要な機能であり、各業種の多くの会社が選択肢になるということです。
そのため、経理職として経験を積んだ後、もっと条件の良い他の会社を見つけた場合に転職することが他の業種と比べてしやすい現状があります。
また、厚生労働省の「一般職業紹介状況(令和2年7月分)について」を見てみると、事務職全体で0.33倍、中でも一般事務職は0.26倍となっています。
有効求人倍率とは、求職者1人あたりにつき何件の求人があるのかを示す指標なので、有効求人倍率が1倍を下回ると「求人数に対して求職者数が多い=人気の職種」となります。
経理の仕事も有効求人倍率が0.57倍であるにも関わらず、現在経理不足に悩む企業が増えているという現象が起きています。その背景として経理職は、ここ数年で加速しているグローバル展開に際して、IFRS(国際会計基準)導入業務が各企業増加している他、デジタル化にともなう会計システムの入れ替えなどといった、通常の経理業務に加えてプラスアルファの業務が増加しているため、企業の人材不足感が強くなっていることが挙げられます。
さらに、2023年上半期の経理の求人動向としても、コロナ禍を背景に採用を控えていた業界が経理・財務・管理会計など会計領域の人員強化し、企業が経営戦略を先に進めようと積極的な採用が行われている状況です。
(3)経理職はワークライフバランスがとりやすい
「日々お金の計算をしている経理って忙しそう…」というイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。たしかに、経理業務には忙しい時期もありますが、「日次・月次・年次のスケジュールがある程度決まっている」という特徴があります。
そのため、事前に業務量を把握し、スケジュール組み立てておけば、自分の采配でお仕事を進められる可能性も高くなってきます。仕事の繁忙期と閑散期の見通しを立てやすい経理職は、メリハリをつけて働きたい方にはピッタリのお仕事です!
育児や介護 会社によっては在宅勤務や定年後も比較的高い時給やで働ける求人も一般事務に比べ多数あります。
4.簿記試験
簿記3級は6月・11月・2月の年3回
会場での簿記試験は、1年のうち3回(CBT除く)行われており、それぞれ6月・11月・2月が試験月です。
最近、簿記試験はネット試験もあり、ネット試験であれば、任意のタイミングで受験できます。
そのため、受験したい日程を自分で決めたうえで逆算していくとよいです。
◆当日の試験対策について
試験日は、最初に解く順序を決め、自信のある問題から解くのがポイントです。
持ち込む時の電卓は使い慣れたものにしましょう。
簿記の試験対策は、試験前の学習だけではなく、試験当日もいくつか意識が必要です。解く順序を決める・自信のある問題から解くことが求められます。
そのため、試験の問題をどの順序で解くのかをたとえば、第1問は15分で解き、第2問は20分で解くと決めておき、問題ごとに解答時間を割り振っていく方法があります。そのときに最後、見直しをする時間も確保できるようにしましょう。
試験当日は緊張や不安などから問題を解くのに時間がかかってしまい、予定していた時間通りに問題を解くことができない場合もあるかもしれません。
そのときは、焦らず確実に解けるものから解いていくなど、臨機応変に対応できるようにしましょう。